ハイブリッド・フロント


●プロローグ
 20世紀以来悪化の一途を辿る石油系エネルギー不足からの紛争により、国家は疲弊し地球環境の汚染は人類の生存を脅かすものとなった。この社会・経済を支えたのは、世界的規模の企業群である。オイルパワーからの脱却を可能とした「重水素エネルギーシステム」、軌道上に建設された「ステーションコロニー」等の巨大なる功績によりある意味超国家となった企業群「軌道企業国家連合[CoCoON]」は、地球からの支配を実力を持って断ち切った。しかし、このこの時の二度にわたる戦争により残された巨大な爪痕の復興は、その後の[CoCoON]の思惑もあり遅々として進まなかった。この時代地球上の人々の生活の維持に努めたのが「運び屋」と呼ばれるアウトローを中心とした「辺境経済支援機構[LEcSuS]」である。弱小ながらも、彼らにより地球に復興の兆しが見え始めた頃、更なる発展を続ける[CoCoON]は火星への進出さえも果たそうとしていた。
 そこで彼らが見た「異星文明の遺跡」は企業間の亀裂を決定的なものとした。このハイパーテクノロジーの争奪戦により、かつて地球を圧倒した強大な力は過去のものとなり、軌道企業の傀儡でしかなかった地球政府「汎地球条約機構[PETO]」との力関係は微妙なものとなった。

 所は地球タクラマカン砂漠の中央を貫く物資輸送専用道路、通称「シルクロード・ハイウェイ」。砂埃を巻き上げて疾走する小規模なキャラバンがあった。その先頭を走る装甲車の中で、シャーリラは降下してくる小型の宇宙船を見た。傷ついた船は不時着に失敗し、一枚のディスクを残して大破した。このディスクを巡り「運び屋」「CoCoON]「PETO」の三つ巴の戦いが始まる。

●システム
 AD大戦略のシステムをアレンジし、戦場を架空の未来世界に設定したウオーシミュレーションです。シルクロードハイウエイから始まる物語は、アメリカ〜月へと転戦し、最後は火星での決戦で幕を閉じます。まさに小説を読むようにキャンペーンが展
開し、それを楽しめるように難易度は控えめに設定されていると感じられます。
 索敵、天候などが省かれ、マスはヘックスではなくスクエアとなっています。兵器の生産や改良もできず、初期配置と(主に敵側の(^^;)増援によりターンが進みます。また地上〜宇宙という戦場のため、マップ毎に登場する兵器はバラエティに富み、そのため経験値は、兵器ではなく搭乗者に掛かります。総勢21人の味方はそれぞれ個性的で対空、対地、間接攻撃などに特徴を持ち、レベルアップする度に成長します。
 未来物らしく兵器の中には移動後に発射できる長距離ミサイルや、複数の敵にダメージを与えるクラスター爆弾的な大戦略では見られなかったものも用意されています。
 ただ、この物語の核となる「単○砲」はあまり使えませんでした(^^;>私


●感想
 詳細な年表やキャラクター(キャラデザは末弥 純氏)紹介が用意され、この世界を構築するためにかなりの労力を費やしているのが感じられます。兵器のデザイン(青井邦夫氏)も、あまり突飛なものは見られず世界観の統一といった事に拘りを
持って作られているなという気がします。
 MD衰退期に発表されたソフトのためにあまり数も出ていないと思いますし、システム的にも古いと言えば古いですが、SFや大戦略型シミュレーションが好きな方にはお勧めです。
 聞くところによると、この作品はスクウェアの「フロントミッション」に対して大いなる影響を与えたそうですが、とにかく良くできた秀作であると言えると思います。またこの作品については裏技の情報がありませんが、全く入っていないとすると非常に希な例になると思います。

 しかし、作戦前の搭乗員の割り振りがこのゲームの最大の欠点でしょう。この時点でのセーブが効かない上に、自動搭乗を実行すると(サイモンを対空ミサイ去ヤ輛に乗せてどうする的な)とんでもない選択をしますし(^^;
 そこでこれからこのゲームをする方のために、ACE時の各キャラの数値を表にしてみました。(除くDr.カーロフ。最後だったので育てられませんでした(^^;)

空防地防対空対装対人対艦直接間接(%)
シャーリラ223050607542+1+28
ポール・シノム252552706230+1+25
ピーター・ケイン302075565052+1+25
冴月弦之丞202050454535+22
サイモン・クウ152330705530+1+20
朴正仙202553635348+1+30
ジン・ヌー132841457231+1+20
ママ・ルイーズ303040303075+30
キム・ラウシー202055303060+20
ヤン・メイラン252066425560+1+25
スチール・ハリス202355605560+1+30
ヴィットー・リオ122030626235+1+25
ヘル・ベイツ102546605340+1+25
カオ・ウェン122245626030+1+15
バーナード281052433058+25
ハンス・フォルツ121640525835+12
グレッグ・ストーン142840454540+30
ニナ・ハーベイ272053556235+1+20
ウエッジ・サムス252265343548+1+15
ミンガ252551565140+1+30
Dr.カーロフ221443393136+27 (RANK B)


(かいぶん)
追記:もしこの作品が気に入った方はウォルター・J・ウィリアムズ著「ハードワイヤード(多分元ネタ)」をお勧めします。


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