サージングオーラ
著名イラストレーター/アニメーターである「いのまたむつみ」さんがキャラクターデザインを担当するという事で話題になったこの「サージングオーラ」。「Beep!メガドライブ」誌の93年4月号の発売予定リストに7月発売ソフトとして初登場、同5月号に紹介記事が掲載されましたが、その後暫くして情報もぷっつり跡絶えて発売中止かと思われました。
が、同誌94年7月号に「メガロープレプロジェクト」のうちの1本として再登場、同プロジェクトの「アフターハルマゲドン外伝」と同じ道を辿った訳ですが(^^;)さてその出来やいかに....?
ストーリー:
かつて、闇の呪法師ルフィードは6つの呪法典の力を利用して「闇の究極呪法」を発動、世界を無に帰し、その焦土の上に自らの理想国家を築こうと企んでいた。しかし「大地の呪法師オーンズ」をはじめとする勇者たちの手により、後に「アズラーの聖戦」と呼ばれる最後の決戦でルフィードの野望は潰えたかに見えた.....。
が、ルフィードは自らを復活させる手段を密かに準備していたのだった。その後勇者たちはアズラーの地にパスファルダ王国を建国、6つの呪法典は封印された。
そして20年後......。
パスファルダ王国建国20周年の記念式典の最中、突如、王宮に魔物の大群が来襲、戦火の中、国王たちの身をていした行動で、王子ムウはかろうじて「呪法典の間」へ逃げ込む。が、それは結界の中に納められた呪法典を手にせんとするルフィードの狙い通りであった。復活したルフィードの野望を阻止するためムウは戦いを挑むが、力およばず倒されてしまう。そして世界は滅び、世界は闇に包まれた......が。
「ムウ、あなたが世界を救うのです。」
最後に聞いた謎の声に導かれ、ムウの体は見知らぬ異境の地へ。
ムウの冒険が今、始まる。
(以上、マニュアルより)
このゲーム最大の特徴は「呪文詠唱システム」という独特の戦闘システムでしょう。
これは、戦闘で魔法を使う際にはその呪文が字幕のように右から左へ流れていき、それを最後まで唱えきると実際に魔法が効力を発揮するというようになっています。(呪文の長さは種類によって異なり、また唱えるスピードはレベルアップやアイテムによって上げる事が可能)
この詠唱中に攻撃を受けるとそこで呪文がストップ、その状態で更に攻撃されるとそこまで唱えた分がキャンセルされ、また最初から唱えなおさないといけません。
これを防ぐために、主人公以外のキャラには「護衛」というコマンドがあり、詠唱中の攻撃を肩代わり出来ます。
敵キャラも同様に魔法で攻撃してきますが、そういう場合は前衛・後衛に別れていて前衛の敵が護衛している事が多く、途中で詠唱を止める事は難しいです。そんな時は、カウンターと呼ばれる該当属性の攻撃魔法をすべて無効にする魔法を先に唱えればダメージを全く受けずに済むので、そういった戦略の駆け引きという部分ではなかなか面白いと感じました(^^)。
ただ....そういった戦闘を行うには魔法の種類が多すぎるんですよね〜〜〜(^^;)。
このゲームでは、光・気・液・闇・念・固の6つの属性に、それぞれ攻撃系・防御系・回復系・補助系・その他・カウンターの6系統、計36種類の魔法が存在します。それらを全て覚えておくのは至難の技、しかもエンカウントするといきなりノンストップで戦闘が進み、戦闘中のポーズも出来ないので慣れないうちは大慌て。(慣れていても慌てますけど(爆))
という訳で戦闘中はマニュアルの「呪法システムと各呪法紹介」と首ったけ(^^;)。
ボスキャラ等は詠唱速度も速く、こちらのレベルが低いうちは小森和子が小沢健二と早口言葉で勝負してるよーなものですね(笑)。
まあ色々書きましたけどこの戦闘システム、多分に消化不良でもあり不満は多いですけど、新しい試みとしては評価したいです。
問題となるのはシナリオ部分。
実はこのレビューを書くにあたって久しぶりに再プレイしようと思ってたのですが、あまりの展開の唐突さにいきなり挫けました(苦笑)。
主人公のムウが過去の世界に飛ばされて来る....そこまではまあいいのですが、そんな彼をいきなり町の人々が頼りにしはじめます。神々しい登場をしたのならともかく町の中にポツンと立っていて、しかも町の女性をさらっていく敵キャラに突き飛ばされた少年に一体どーやったら信頼をおけるのでしょーか(^^;)?
まあ、これ以降はムウも「実績」を積んで信頼され得る人物になっていくのですが、どうもシナリオ全体が「雑」のような気がしてなりません。(初回プレイの時は前述の戦闘に気を取られて、あまりシナリオ部分に目がいってなかったんでしょうね)
そのおかげで、各登場人物にも深みというものが足りないです。
いのまたむつみさんによるキャラクターデザインは魅力的なのですが、キャラクター自体に魅力は感じられませんでした。(フェイスウインドウの顔なんてうまく描けてるんですけど....勿体無いなぁ....)
モンスターデザインはどことなくイッちゃってて、あの「ファンタシースター3」を彷彿させてくれます(笑)。
結局このソフトが、セガ自身がメガドライブで発売した最後のRPGとなった訳ですが....なんだか昔から「RPGに弱い」と言われていたメガドライブを象徴しているようですね〜〜(--;)。
(KARA)
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