サイバードール
先に告白しておくと、僕はこのゲームをクリアしていない。
いわゆるソフトレビューを期待してる人はご免なさい、読むの止めて下さい。
「なんでクリアしないのか、お前はサイバードールが好きでこの文を書いてるのだろう」
僕もそう思うが、理由は簡単でこのゲームはあんまり楽しくないのだ。
(繰り返します、レビューを期待してる人は読むの止めて下さい)
しかし、にもかかわらず僕はサイバードールが好きで、
その証拠にイラストまで描いたのだ。
では一体なにが好きなのか。
サイバードールのキーワードの一つはサイバーパンクだ。
画面上はいわゆるサイバーパンクっぽいデザインで満たされている。
薬物中毒の子供や、マシンのジャンク、悪魔画のようなクリーチャー達。
何処からどこまでが絶望で、どこまでが欺瞞なのか判然としない怠惰なカオス。
そういったイメージだ。
映画「ブレードランナー」をはしりとするこのジャンルの映像化だが、
実際にはその殆どはことごとくマヌケさの残る出来になっている。
それはマヌケ面の俳優や、アニメ絵のキャラクターや、
雰囲気をブチ壊すそういったもののせいだ。
もう少し穏当に言えば「お茶の間的」味付けが施されているからだ。
でもサイバードールにはその破綻が無い。見事に歪んだ世界が構築されている。
・・いや、本当は破綻はある。シナリオが甘い、と思う。
クリアしていない理由の一つだ。
ではシナリオに見るべきものは無いのか?そんなこともない。
圧巻なのはイントロのムービーだ。
かなり長時間見ることになるこの導入ストーリーは、
正直「もっと短く整理しろよ」という気もする。
しかしかつて聞いたことのない重苦しいナレーションが語るストーリーは
僕を強く引きつけた。
本気で作っているのだ、そう思った。
シナリオ世界観のデザインだけでなく、
ゲームシステムも独自のアイディアを随所に盛り込んであり個性的だ。
攻撃部位を指定出来る戦闘システムや、警報システム。
破壊した敵の部品でパワーアップしていく成長システム。
これらはゲームの中でしっかり連動していて、
サイバードールを凡百の剣と魔法RPGから際だった存在にしている。
僕が好きなのは、これらのフィーチャーから感じとれる強い主張だ。
大企業の大プロジェクトが作るゲームからは分厚い強さを感じるが、
サイバードールの強さは犯罪者の様な孤独な強さだ。
何しろゲームが始まったときは「どうなるんだこれは?」とワクワクした。
あの感覚は30歳になった僕を少年時代のように興奮させたのだ。
こんな感覚は忘れて久しいものだった。
で、そのうち・・いまいちかなと思い始めてしまったわけだ。
「それじゃクソゲーじゃないか」
うー僕としても好きな娘の欠点から目を背ける心境だ。
ちょっとつらい。でも惚れてるのだ。
ステロタイプに「2を作って挽回してくれ」とかは思わない。
たかがゲーム、されどゲーム。それがサイバードールだ。それで良いではないか。
(山崎芳達)
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