デスクリムゾン



【デスクリムゾン外伝1 戦慄のレッド】

 俺の名は越前康介。両親は共に医者であり、それなりに大きな病院の経営者でもあった。俺もガキの頃から当然のように医者としての将来を期待され、中学生になると手術の見学などをやらされたもんだ。だが、感受性の高いこの時期に見せられた、メスが肉体に食い込む生々しいシーンや鮮血、あるいは日常的に見る死体は、俺の中に潜む野獣性を揺り起こしたようだ。

 学生時代は、医師になるべく勉強を続けながらも格闘技にのめり込んだ。そして運命の日、両親が飛行機事故で死亡するとそれまで隠れていた病院内の軋轢が一気に吹き出し、それは政界をも巻き込んだ一大スキャンダルとなった。
 全てが片付いた時、残された僅かばかりの財産と共にアメリカへ飛んだ俺は、軍隊式格闘技と射撃を教える養成所へ通った。初めは銃を撃ってみたいというだけの単純な理由だったが、そこが傭兵の斡旋を行なっているのを知ると、自分の腕を試したいという思いを押さえ切れなかった。

 脱落は死を意味するという激烈な訓練課程を終了させた俺は、アフリカの小国マルマラへ王室/政府側の傭兵として派遣された。反政府軍との戦闘は激しかった。そんな中傭兵キャンプで出会ったのがグレッグとダニーである。ダニーは金に対する執着が強いが、その情報の早さ、正確さでは群を抜いていた。グレッグは一風変わった男で、歴史や考古学を趣味としている。寡黙だが、その方向感覚や地形の読み、戦術考案に非凡なものを持っていた。俺達3人はチームを組まされる事が多かったが、戦場における互いの能力に絶対の信頼をおくようになるまで、時間はあまり必要ではなかった。

 そんなある日ダニーが奇妙な情報を仕入れて来た。先週、敵の待ち伏せを受けて全滅したパトロール隊の相手が、不死とは云わないまでも銃撃をうけてもなかなか死なない連中だったというのだ。 「この辺りがブードゥー教の影響が強い地域とはいえ、今時ゾンビなんぞは流行らねえぞ」と、俺は取り合わなかったが、上層部の連中は案外真面目らしい。

 だが俺もそれを事実として受け入れざるを得ない時が来た。物資輸送任務中に敵の待ち伏せを受けたのだ。交戦中確かに手応えはあるのに、敵が倒れない。「このクソ暑いのに、防弾チョッキとはご苦労だな!」グレッグの罵声を聞きながら、敵の頭部を狙って慎重にトリガーを絞る。銃を放り出すようにして倒れる姿に浮かんだ笑みが、一瞬後驚愕に凍り付いた。確かに頭を打ち抜かれた敵が、妙に素早い動作で銃を拾うと反撃して来たのだ。虚を突かれた俺の脇腹と左腿に熱く焼けた鉄の棒を突っ込まれたような感覚が走る。
「やりやがったなっ!」思わず叫び返しながら残弾をすべて叩き込んだ。

 衝撃と失血のために気を失った俺が目覚めたのは、野戦病院のベッドの上だった。
襲撃者の数が少なかったために何とか撃退できたが、こちらの損害もとても無視できるレベルではないとの事だった。

 俺が傷の治療に専念するうちに、敵側の不死性は未知のウイルスによる風土病ではないかとの推測が発表された。感染すると、思考力が激減するのと引き替えに細胞の生命力が飛躍的にアップするという。指揮官としては、思考を持たない不死身の兵士に命令を刷り込む事が出来れば、これほどありがたい事はないだろう。

 やっと満足に動けるようになった俺にダニーがもたらしたものは、敵の総攻撃が近い事と、戦況の悪化による上層部の亡命計画という情報であった。「俺達のような傭兵は、この国と心中する義理はないからな」そう言うと、脱出計画と共に一枚の地図を俺に示した。『引っ越し』のために混乱する王室の宝物庫からくすねてきたと云うそれには、【遺跡】の場所と【知識の青】【力の紅】【富の緑】という3枚の扉が記載されていた。
「まるで俺達のためにあつらえたようだな」とグレッグが呟く。
「せっかくだから、俺はこの紅の扉を選ぶぜ」俺はそう宣言した。

 脱出計画は非常にシンプルで、亡命する連中の逃走経路をリークし敵をそちらに引き付けて、手薄になった方面を突破しようというものである。計画は概ね成功し脱出自体はスムーズに行ったが、【遺跡】に近付くにつれて敵の数が増してきた。
「戦略的に何の意味もないこんな場所に、これだけの人員を配置しているという事は、やはり何かある」との確信が強まる。敵との接触を避けつつ進むが、遂に発見された。

「ダニー、グレッグ生きてるか?」
「上から来るぞ、気を付けろ!」
なんといっても奴等は不死身の化け物だ。攻撃は牽制射撃程度に押さえてひたすら【遺跡】を目指す。
「こっちだ、越前」グレッグの先導に従い、とうとう【遺跡】の入り口に辿り着いた俺達は地下への階段を降りていった。一見何の変哲もない階段だが、一段降りる毎に周りの空気が濃密なスープのような感触に変わる。
「何だこの階段はっ!」俺の心が通じたようにグレッグが呟く。

 ふと気が付くと周りの喧噪が止んでいる。奴等はここに入れないのか?そんな疑問が形を整える前に、3枚の扉が並ぶ広間に着いた。左側が青、中央が紅、右側が緑。俺が紅い扉を開けて中にはいると、そこにはどう見ても金属製とは思えない、不思議な感触の銃が台座に載っていた。

 それを握った時【クリムゾン】と名付けられたその銃こそが、唯一魔族に対抗出来る武器だと知った。
「魔族?何のことだ?」俺は混乱しながらも【クリムゾン】から送られて来るビジョンを理解した……はずなのだが、その部屋を出ると薄ぼんやりした記憶しか残っていない。他の二人も、部屋から出てきた時は目が虚ろで放心状態だった。
「脱出するぞっ!」俺は二人に活を入れると【クリムゾン】を握りしめながら【遺跡】を出た。
 【クリムゾン】の威力は絶大で一撃で敵を倒す事が可能であり、更にグレッグが身に付けた知識は敵の裏をかくのに役立った。

 ダニーの資金を利用しながら敵の勢力圏を脱した俺達は、一旦ヨーロッパに飛びパリで別れた。あれから10年、二人には逢っていないが噂では聞いている。【遺跡】で手に入れた知識や財宝を使って、ダニーは大富豪となりサロニカの町で、グレッグは考古学の教授としてリムブルク大学で、それぞれの生活を送っているらしい。
 俺はといえば、新宿でヤクザを相手に非合法の医療行為を行うヤミ医者として日銭を稼いでいる。そんな生活で得られる刺激など、あの頃の『日常』とは比較すべくもないが、【遺跡】での戦闘で燃え尽きた俺にはこの程度が丁度良い。


「探したぞ!」
 少々うわずってはいるが、電話を通してでも聞き間違いようのない懐かしい声。

「10年前の不死をもたらす病気を憶えているな?」
 忘れようとしても、未だに見る悪夢が思い出させてくれるさ。

「あれは病気なんかじゃない!グレッグの研究が実ったんだ。現在ヨーロッパ中に蔓延しているKOT症候群との関連が解った。今こそ【コンバット越前】と【クリムゾン】の力が必要なんだ。すぐにサロニカに来てくれ」

 訳が解らないままサロニカに向かう俺は、そこで待ち受ける運命と【クリムゾン】の真の力を予見してはいなかった。


なんて事を書きたくなっちゃうんだな、このゲーム。
でも内容は……以下128行削除(爆)

【デスクリムゾン外伝2 真紅を受け継ぐ者】に請うご期待(大嘘)

(三文小説家(^^; かいぶん)


付記:このソフトは個人の責任に於て購入して下さい。服用後『めまい』『吐き気』『経済破綻』などが発生した場合でも、当方では責任を負いかねますので悪しからず御了承をお願い致します(笑)


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