パンツァードラグーン ツヴァイ



「ツヴァイ、美しい悪夢へ」

夢の中で魔物におそわれたらどうする。
僕らは夢の中で夢を見つめている。そして時には必死に考える。右か、左か。
そこで悪夢は終わることもあるし、終わらないこともある。
そして確かに悪夢だったのに、美しかった、そんな印象が残る事がある。

例えば鈴木裕のアイディアはスペハリ、アウトランからバーチャにいたるまで、
あの果てしない地平線に支えられてきた。
鈴木裕が黒澤明を意識しているかはともかく、
あの地平線は体感ゲームの舞台の最高峰の位置を占め続けている。
(それはダンジョンの呪縛から抜け出せないでいる多数のアイディアから遥かに自由なキャンバスだ)
しかし、見ただろうかLAST EPISODEを。きらめく雲海を。冷たい空を。
目映い光の中で僕らが見たものは、悪夢への挑戦にも似た、イメージへの闘いだったのだと思うのだ。

もう言葉にすることもないのだけれど、あの色使いの旨さはなんなのだろう。
モネやスーラが見たら歯がみして悔しがるのでは無いかとさえ思う。

シナリオ構成からは内向性の印象を受ける。
象徴的にツヴァイではドラゴンが脱皮を繰り返す。
思春期・・と呟いて、次に浮かぶ単語は、またも悪夢だ。
そして悪夢との闘いとは、多くの場合逃走だ。
前作のダイナミックなパノラマ感が少し引いた分、
ツヴァイは少年の論理が純度を高めている。それは悪夢の形をしているのだが。

パノラマ感が引いたと書いたが、勿論ツヴァイでもありったけのアイディアが詰め込まれている。
EPISODE5からEPISODE6に移ったときに唐突な印象を受けるのは
EPISODE5のボスの異形性に圧倒されたからに他ならない。
歪んだ異形の機械。野獣の衝動を持たない冷たい暴力。
そのEPISODE5をクリアしても悪夢からは解放されないのだ。
最後に対決するべき敵としてドラゴンの形をした不条理が翼を広げるのだ。
プロトドラゴンの声を持つラスボスは、倒れた後にも何か秘密を放り出したままだ。
ファンタジーの最後の鎧、不条理をユーザに差し出してなおも進化を続けようとするパンツァードラグーン。

だからサターン持ってない人は悪いことは言わない、パンツァーの為に買いなさい。

(山崎芳達)



ソフトリストへ / 前のソフトへ / 次のソフトへ